便利すぎるワラシさま【小説『本屋のワラシさま』より】

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途中までのあらすじ

ある事情により務めていた書店を辞めた啓は、入院した叔父の代わりに叔父の書店で店長をすることになります。

そこには市松人形が置かれていましたが、その人形は女の子に姿を変え自分を本屋の座敷童子のワラシだと名乗りました。

ワラシは啓に指導をすると口出しをしてきます。啓は反発しながらも本屋にやってくる人々の悩みをワラシの助言を受けながら解決していくことに……。

便利なワラシ

ワラシは本屋の座敷童子を名乗りますが、幸運を呼ぶような存在だけではなく特殊な能力を持っています。

それは店内である行動をとった人物を本にすること。その本を読むことで元の人物の悩みは過去を見ることができました。

お店に客が来る→ワラシが本にする→本越しに悩みや過去を知る→悩みを解決する

これが基本的な流れですが、大抵のエピソードでこの『悩み→解決』があっさりすんでしまうので、淡々と話が進む印象を受けました。

そうではないな話もありますが啓もワラシも傍観者でしかないため、いまいち盛り上がらないんです。

ワラシは本屋から出てしまえばただの人形で、リアルといえばリアルですが啓は書店の店長という立場を超えることもしません。

人物によっては過去や悩み以外のものが本に出ることもありましたが、それが何故かは明らかになりません。

その人物だけ違うものが出る理由が明かされないまま次のエピソードに移るので、読んでいてモヤモヤ感がありました。

とことん受け身な啓

  • 啓が本屋の店長になったのは叔父に頼まれたから。
  • 本屋にやってくる人々の悩みを解決するのもワラシに後押しされて。

啓は他人の悩みを積極的に解決しようとはしません。その人に関係する本が貴重なもので、実物を見てみたい好奇心で首を突っ込むこともありません。

ワラシによって本にされた人の本を読むのにも消極的で、ワラシに読めと言われて渋々読んでいました。

あるエピソードではワラシが本をすり替えることで、2人のキャラクターが仲良くなるのですが、啓は状況に流されるだけで何もしていません。

ワラシが人を本にしないエピソードもありますが、口は出すので啓1人で問題を解決することもありませんでした。

しかもワラシはあらかじめ根回しをすることなく行動を起こすので、啓はワラシに振り回されることがほとんどです。

啓はある理由で書店を辞め、それ以降女性恐怖症になり本を読めなくなりました。

終盤にそのトラウマを克服するのですが、そのときもトラウマの原因になった人物が本屋にやって来るのがきっかけ。

啓は原因となった出来事について最後まで自分からは行動を起こしませんでした。

また本屋は商店街にあり啓は隣の店ののばらと知り合い、啓が女性恐怖症を克服するきっかけになります。

のばらは準レギュラーのようなキャラクターで啓とも仲良くなりますが、その過程があまり書かれません。

そのため「いつのまに仲良くなったんだろう」と思いながら読んでいました。

ワラシの『人を本にする能力』や、『この人物とあの人物はきっかけがあれば仲良くなる』ことを見抜ける能力。

これで大抵の問題の解決までの道のりができてしまうので、ミステリーとしては読まない方がいいですね。

出会いと別れ、トラウマの克服と成長、過去に惹かれつつも現在を見つめるキャラクター。

物語として抑えるところは抑えているので、1つ1つのエピソード(特に啓とのばらの関係)を掘り下げてほしかったですね。

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