お約束とマンネリの狭間【漫画『くーねるまるた ぬーぼ』より】

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お約束は『いつも決まって同じようになること』や『陳腐と思うほどありきたり』という意味。

マンネリはマンネリズムの略で、『同じことが繰り返され独創性や新鮮さが失われること』を指します。

同じパターンの繰り返しをお約束、同じ展開が続いて飽きてくることがマンネリ。

2つの単語の意味は近いですが、お約束はマンネリに比べて肯定的に使われることが多いです。

お約束とマンネリの違いは受け手がどう受け取るのかで決まってくるのですが、この2つの狭間にある漫画があります。それが『くーねるまるた ぬーぼ』です。

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作品について

『くーねるまるた ぬーぼ』は『ビッグコミックスピリッツ』で連載した『くーねるまるた』の続編にあたります。

14巻まで続いた前作に対し、ぬーぼは4巻まで販売しています。

4巻には5巻が2020年春発売予定と書いてありましたが、2020年11月現在続報はありません。

『くーねるまるた』はポルトガルから日本の大学院に留学し、卒業後も帰国せず築70年のアパート・笑明館に住みながら貧乏暮らしを続けているマルタを中心に進みます。

マルタが安い食材で美味しい料理を作るグルメ漫画的な面が強いですが、料理描写が全くなかったり実在するお店が出てくるエピソードもありました。

マルタは学生時代の奨学金と日雇いの仕事で得た収入でやりくりしているのですが、そのような生活を続けることについては日本での暮らしが気にいったからくらいしか描写されていません。

またマルタの住んでいるアパートにはマルタの他、若い女性が3人住んでいます。

図書館で司書をしている美緒子と、医師として働きながら美大を目指して笑明館をアトリエ代わりにする神永は、普段何をしているのか描写されているのですが由利絵だけは謎なままです。

付け加えると若い女性がわざわざ古いアパートに住んでいることについて、美緒子と由利絵はその理由が明らかになっていません。

地に足の着いた設定の『くーねるまるた』ですが、キャラクターの背景はそうでないことが多いです。

途中から鍼灸師として大阪からやって来た由佳も笑明館の一員になりますが、だからといってキャラクター同士の関係性が変わったりしません。

エピソードも1話完結が大半で、このエピソード以前と以降でキャラクターの関係性が変わらないので、途中から読んでも問題ないエピソードが大半でした。

1つ1つのエピソードもギスギスしたものはなく気軽に読むことができますが、ちょっといい話的なものも調理パートも食事パートもない淡々とした回も少なくありません。

代り映えのない日常を若い女性を中心に描くという点では所謂きらら作品に近いですが、あちらは学生が大半で学校などの閉じた世界が舞台。

対してこちらは主人公が大人で閉じた世界ではないので、若い女性だらけの古いアパートを筆頭にあちこちで違和感が出てきます。

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ぬーぼについて

『くーねるまるた』終盤でついにアパートが取り壊され、バラバラになった住人たちですがそれでも生活の変化は少ないです。

マルタは大家の前田邸の離れに住み、定職にも就きましたがその生活に大きな変化はありません。

日本のアニメオタクであるマルタの妹がこっそりやって来て、マルタの姉にばれるエピソードもありますがそれもすぐに解決します。

住人の中では神永のみ美大に受かったという変化がありますが、その他のキャラクターは特に変化がありませんでした。

日常系として見てもきらら作品の場合、特定のキャラクター間の距離感の変化が盛りこまれますがこちらはそういったことはいっさいなし。

アパートの住人はみんな仲が良く、特定のエピソードを通してお互いの仲が深まるなんてことも起きません。そのためきらら作品以上にゆるふわな空気が流れます。

これはマルタの立ち位置がふわふわしたものであることに原因があると考えられます。

マルタは日本で何かしようとは思っておらず、日本で暮らすことが目的となっています。ポルトガル出身であることを生かして働きたいといったことは終始思いません。

加えて実家と仲が悪いというわけでもなく、ポルトガルに戻りたくないといったものもないです。

これはマルタが日本好きな外国人だから許される設定ではないでしょうか。

地方から上京した学生が卒業後も東京から離れたくないから、古いアパートで暮らし日雇いの仕事をしているとしたらマルタのように好意的に捉えられたとは思えません。

『くーねるまるた』は大きな変化がなく1話完結のエピソードが大半で、知人の知人と仲良くご飯を食べましたで終わる回もあり、単調でオチが何もないときもあります。

これは確かに単調ですが、大きな変化のない淡々と進む平和な日常を描いた漫画が読みたいときに安心して楽しめるということでもあります。

そういった楽しみ方は間違いではありませんし、そういうジャンルの漫画も否定するつもりはありません。

ただ一気に数巻読むとマンネリ感や退屈さが感じられるようになるので、それがどんなに緩い物であっても主要なキャラクターには何かしら目的を持たせた方がいいという見本ともいえます。

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