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幸せとか不幸とか【アニメ『臣士魔法劇場 リスキー☆セフティ』】より

※以前自分のブログに書いた記事を移したものです。

緩い日常だったりファンタジーの世界に行ったりと、ゆったりとしたテンポで話が進むのが魅力のアニメです。

2021年現在配信されておらず、DVD化はしていますがBlu-rayにはなっていないアニメなので、このまま忘れ去られるのも寂しく取り上げることにしました。

主題歌は主人公役の坂本真綾さん歌っていますが、名義はキャラクターで『桂木萌坂本真綾)』表記と、ある意味貴重なアニメだったりします。

あらすじ

  • 中学生の桂木萌が恋人の優雅のことで部屋で落ち込んでいると、死神見習いを名乗るリスキーが現れました。
  • リスキーは不幸になっている萌から魂を奪おうとしますが、萌が優雅への気持ちを思い起こすとリスキーは姿を変え天使見習い・セフティーへと姿を変えます。
  • リスキーとセフティーは1つの身体を共有し、周囲の幸せや不幸に反応して姿が変わる体質でした。

原作について

原作は『月刊電撃コミックガオ!』という雑誌で連載していた漫画で、こちらはリスキーとセフティーを軸に様々な出来事に関わっていく構成でしたが、アニメでは大きく改変。

エピソードの1つでしかなかった萌を主人公に据え、萌のエピソードを軸にリスキーとセフティーが様々な世界へ向かうアニメになっていました。

萌の不幸

萌が部屋で落ち込んでいたのは恋人の優雅が落ち込んでいたからなですが、それが誤解であるとセフティーは説得します。

その際セフティーはテレビにそのときの映像を流すのですが、音声までは再現できなかったので台本を持ちマイクスタンドの前でアテレコしました。

リスキーもセフティーも、人間の手の平くらいの大きさなので、それを生かした演出があるのもこのアニメの魅力です。

例えば5話でリスキーは萌の顔見知りである恵の命を狙いますが、萌に邪魔されバンダナで体を巻かれて拘束され、萌の弁当の箸入れに頭を乗せたりもしました。恵は終始投げやりな態度をとっていましたが、恵の悩みはあっさり解決。

このようにこのアニメの演出は基本的にシュールで、ボケるときも派手なBGMを流したりせずあっさりと流します。アニメ自体が1話10分ほどで終わるのもあり、シリアスな展開になってもそれを引っ張ったりはしないので、見ていてダレません。

ファンタジーな世界で

このアニメのDVDは全4巻で、1巻は萌を主軸にしたエピソードばかりでしたが、2巻ではファンタジーな世界に舞台を移します。

そこでは萌は登場しませんが、代わりにファジーというキャラクターが出てきました。ファジーのいる世界には動く人形が存在し、ファジーの父親は人形を作る仕事に就いています。

父親はファジーの世話を人形に任せてばかりで、自分はいつも閉じこもって人形を作っているので、ファジーはそんな父親に不満を持っていました。そんなファジーの前にセフティーが現れる構成になっています。

ファジーの家では掃除は人形任せなのですが、人形は掃除ができても倒した椅子を元に戻すことはしません。劇中では人形が何回も椅子を倒す場面が挟まれ、ファジーが父親と関われない寂しさをセフティーに吐くきっかけになっていました。

ファジーが出てくる話は全4話で、最終的には父親とファジーは和解するのですが、話の展開にはいくつか疑問がわきます。

  • セフティーがファジーの前に現れたのは幸せの花を咲かせた祝福のためなのに、ファジー本人は幸せを感じていないズレの原因はどこに?
  • ファジーそっくりな人形を作っていたのは何故か?
  • 娘の世話を人形に丸投げして、ろくに顔を見せないほど人形作りに打ち込むのはなぜか?

これらについてはろくに触れられないまま話が進むので、演出に光るものがあり綺麗に終わっても引っ掛かりのあるエピソードでした。

萌の世界に戻って

ファジーのエピソードが終わると、今度は萌のエピソードが始まります。

萌の友人である琴音と鈴子が出てくるのですが、琴音は『鈴子を殺したいほど憎んでいる』とリスキーが指摘する内容で、最初琴音は否定するのですがリスキーに全部ばらされる構成になっていました。

この友人のエピソードは前後編で、前編では調理実習やテストの結果、好きな人の話題を萌を入れた3人でしていたのですが、それらはすべて後編で鈴子を憎む原因になっていることが判明します。

  • ちゃんと勉強した琴音に対し、鈴子は試験範囲を間違えて勉強したからテストで範囲にない問題が出ても解答できて琴音より点数は上。
  • 調理実習では色々下調べをした琴音に対し、適当に作った鈴子の方が好評。
  • 通っている塾で話す相手が好きだけど、その相手は鈴子目当てで琴音に話しかけてきただけ。

このように前編の話題が伏線になっています。

このエピソードは一見重く見えますが、演出やリスキーの言動のため重い雰囲気になりきらずに進んでいきました。

重くなりそうな話題でもそうならず進んでいくのがこのアニメの魅力で、3巻以降もリスキーとセフティーをじくにした話が進みますが、3巻や4巻にも見どころはあります。

3巻には優雅に好意を持つ女の子にスポットを当てた回があり、劇中リスキーは萌を不幸にするためかその子を優雅に告白するよう焚きつけました。

その描写が無声映画のように文字と音楽だけで描かれるのですが、一時的な演出ではなく1話をとおしてずっと同じ演出のまま話は進みます。

また3巻では「本当の桃太郎はこうだった」とリスキーとセフティーが萌に説明するかたちで、2人が知る桃太郎のエピソードが始まるのですが、こちらは紙芝居のような形式で進みつつ時々アニメになるという攻めた演出になっていました。

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