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きらら系観光漫画になった『ゆるキャン△』

※以前自分のブログに書いた記事を移したものです。

アニメの2期が終わり、2022年に映画を控えたゆるキャン△

その原作は8巻以降同じキャラクターを使った別の作品といっていいものになりました。今回はそのことについて11巻までの内容に触れながら書いていきます。

話の軸にならなくなったキャンプ

初期のゆるキャン△にとってキャンプは特別な場所であり、話を進めキャラクターの関係を描く重要な場所でした。

キャンプ場でリンと出会ったなでしこがキャンプに興味を持ち、野クルに入部するかたちで犬子と千明と知り合い3人でキャンプしつつ、ソロキャンをするリンに連絡をして別々の場所から星空を見上げます。

その後はリンの友人・斎藤も含めた5人に、野クルの顧問となった鳥羽を含めた6人でキャンプをしました。

アニメ1期では最後の2話で、漫画では4巻で描かれたエピソードです。

5巻ではなでしこの出身地である浜松にリンが訪れ、なでしこの幼馴染である綾乃と出会いキャンプについてリンが考えを語りました。

6巻では千明、犬子、斎藤で山中湖のキャンプに行って怖い目に遭い、7巻ではリンが桜となでしこのソロキャンを途中まで見守ります。

このようにキャンプが何かしらのエピソードと関わっていくのがゆるキャン△でしたが、8巻以降は変わっていきました。

8巻では5人と鳥羽に犬子の妹・あかりを含めた6人で伊豆キャンに行くのですが、8巻では終盤にキャンプできる場所について一息ついてお終い。

9巻も含めてキャンプというより伊豆に観光旅行に行った感の方が強い内容です。

また9巻ではキャンプ中に妹から電話のあった鳥羽が、「顧問になってよかった」と話す場面がありますが、他にキャンプについて取り上げる描写はありませんでいした。

アニメ2期では最後、なでしことリンが伊豆キャンの感想を話すエピソードがあり、そこでなでしこがソロキャンの感想をリンに話しますが、これはアニオリで原作では伊豆キャンの感想しか話し合っていません。

キャンプがゆるキャン△の中で重要ではなくなり、観光漫画になった瞬間といえるのではないでしょうか。

10巻と11巻

10巻では学校でキャンプ用具を作る話や、斎藤家で斎藤が千明の髪を切りBBQをやりつつ、リンに綾乃から連絡があったことがきっかけでなでしこと3人でキャンプすることが決まりました。

ですが本編にキャンプ描写はなく、ヤマハバイクのサイトに掲載された特別編の終盤に少しだけ出てくるだけです。

こちらのリンク先からもそのエピソードを見ることができます↓

11巻では久しぶりにキャンプ用品にも触れたキャンプの描写が出てきますが、11巻全体では観光描写にページを割いていたこともあり物足りないものでした。




リンの変化

物足りなさの原因はキャンプ描写の少なさもありますが、キャラクター間の描写に変化が無くなったことも一因です。

ゆるキャン△はキャンプを通してキャラクターの関係を描く作品で、象徴的なのがリンで序盤高校でなでしこと再会し、キャンプに誘われたときは嫌そうな顔をしていたことです。

ですがその後野クルの面々とのキャンプにも誘われ、最初は渋りましたが千明に助けられたことが切っ掛けて考えを変えました。

そんなリンですが10巻では5巻で一度会っただけの綾乃からLINEで連絡が来た際、最初は驚き敬語で話しますがその後は普通に会話します。

それどころかそのままツーリングキャンプの計画を建てたので、そのため初期の頃のようなやり取りが生まれずあっさりと話が進みました。

アニメ2期のPVでも5巻のエピソードの一部を見ることができます。

常に5人で行動するわけではないところはゆるキャン△らしさが残っていますが、人とのかかわり方が柔軟になったため、他のきらら作品と同じようなゆるい日常が描かれるようになりました。

伊豆キャンはそれが顕著で、きらら作品の旅行編にありそうなストーリーです。

キャンプと人との関わり

ゆるキャン△はキャンプのことを知り経験していくなでしこと、ソロキャン以外のキャンプも受け入れるようになり、人との関わり方も変わってくるリンが物語の主軸でした。

8巻の時点でなでしこはソロキャンを始めるくらいには知識も道具も揃えられるようになり、リンも初期の頃に比べて柔軟で集団で旅行に行くことも嫌がらなくなります。

キャラクターが成長したことにより、今までのような課題とそれをクリアする過程が描けず、キャンプで新しい課題を用意できないまま、女の子の日常を描くきらら作品らしくなっているのがゆるキャン△の現状です。

  • 1巻ではなでしこがリンと出会いキャンプについて興味を持ちます
  • 2巻では野クルとキャンプに行ったなでしこが、ソロキャンをするリンと離れた場所から同じ空を見上げます
  • 3巻では野クルとのキャンプに渋っていたリンが、ソロキャンじゃないキャンプに参加する気になります
  • 4巻では今までバラバラにキャンプしていたキャラクターたちが初めて一緒にキャンプします
  • 5巻ではリンがソロキャンについて自分の考えを語ります
  • 6巻では犬子と千明と斎藤がキャンプで怖い目に遭います
  • 7巻でリンに影響されたなでしこがソロキャンをし、気になったリンがこっそり見に行きます

このように7巻まではキャンプがストーリーに絡み、キャンプを通してキャラクターの関係も描いていました。

6巻のエピソードはキャラクターの話としては弱いですが、キャンプを扱う作品としては入れておくべき話であり、斎藤が犬子や千明とキャンプに行くという人間関係の広がりを描いています。

対して8~9巻の伊豆キャンは観光描写が大半でキャンプの描写は少なく、宿泊先が旅館やホテルでも成立する内容です。

10巻に至っては本編にキャンプの描写はなく、11巻ではなでしこ、リン、綾乃の3人でキャンプしますが、観光と苦労話を含めたバイクのエピソードにページが割かれ、初期に比べて観光描写が増えていました。

キャラクターの魅力は失われていませんが、7巻以前と8巻以降で同じキャラクターを使った別の作品になったというのはここからきています。

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