※以前自分のブログに書いた記事を移したものです。
途中までのあらすじ
賭博師ラザルスは賭場に目を付けられない程度に稼ぐことを信条としていましたが、ある日ミスで大勝ちし大金を手に入れてしまいます。
ラザルスは賭場に目をつけられないために、賭場で売っているあるものも買うことにしました。
それは感情のなく声を出すことのできない奴隷の少女リーラで、この出来事をきっかけに2人の奇妙な生活が始まります。
作品について
『第23回電撃小説大賞≪金賞≫』受賞作で、2017年に電撃文庫から出版された全5巻のラノベで、劇中で明言されてはいませんが18世紀のイギリスが舞台。
コミカライズ済みで、原作1巻のエピソードを全3巻に分けて販売中です。
ラザルスの実力
ラザルスは賭博師として優秀な人物で、自分の独白で「ほどほどに勝つのが難しい」と言っていますがそれが可能な腕の持ち主です。
そんなラザルスが賭場のディーラーのミスで大金を手に入れ、宝石よりも周囲に狙われにくいからという理由で奴隷のリーラを買うのが物語の始まり。
賭博というラノベでは珍しいジャンルを扱いますが、全体の流れはとてもシンプルです。
ラザルスはリーラとの生活に特別な感情を持つようになりますが、リーラの身に危機が迫ったことをきっかけに、自分の身を顧みない行動をとりました。
ボーイというにはラザルスは年を取っていますが、『ボーイ・ミーツ・ガール』から始まる物語として読めます。
賭博の世界
賭博を扱うため、地の分の大半が賭博の蘊蓄や技術で埋まるページも少なくなく、賭け事に興味のないと読んでいて退屈に感じるかもしれません。
というのもラザルスが優秀なので、ギャンブルの駆け引きというものがあまり描写されないんです。
もちろんラザルスも負けるときは負けますが、その描写は簡単に済まされました。賭博でラザルスが焦りや後悔を見せることはほどんどありません。
大量の掛け金で相手にプレッシャーを与えたり、言葉で相手の動揺を誘う場面もありますがそれらは全てラザルスが仕掛ける側です。
ラザルスが相手にプレッシャーや揺さぶりをかけられるエピソードはありません。焦りや動揺を表に出すことなく淡々と賭けていきます。
賭博以外ではラザルスも痛い目を見ますが、賭博に限ればラザルスという『主人公が無双するラノベ』といえますね。
賭博の描写についても地の文で書かれるものが大半で、キャラクターの駆け引きより知識の披露として多く出てきました。
蘊蓄や雑学としては面白いですが、話の盛り上がりに繋がるかとなるとそれは別の話です。それらの知識は劇中のエピソードとは直接関係のないものが大半でした。
それでもリーラという無力な少女に出会うことで、賭博の世界で投げやりに生きるラザルスが、リーラのために体を張った無茶をするのは王道ですし、2人のやり取りについては違和感なく読めます。
賭け事には詳しくないので賭博の描写が正確なのかは分かりませんが、ちょっと変わったボーイ・ミーツ・ガールなラノベでした。
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