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序盤からガバかった『リコリス・リコイル』

※辛口です

終盤を迎えTwitterでは失速、ガバガバといった言葉が並ぶようになった『リコリス・リコイル』。

これは終盤になって色々な突っ込みどころが出たことが主な原因として挙げられますが、序盤からガバガバというか雑なところがありました。

それらの雑さは本筋に絡んだものではなかったり、終盤になって背景などが明らかになると思われていたものが実際はそうではなかったことや、全体を通した設定やキャラクターの整合性よりも、その場のインパクトやエモさを重視したような強気な構成であることが理由として挙げられます。

目次

序盤から雑なところが

1話で千束は喫茶リコリコにやって来たたきなを、『仲間を守るために命令違反した』と捉えて友好的に接しますが、実際のたきなそんなキャラクターではないことは1話で明らかになるものの、たきなの人となりを知っても千束の接し方が変わりません。

またたきなも命令を無視したわけですが、何故命令を無視したのかは明らかにならないまま。

手柄を挙げて出世したいとか、犯罪者はさっさと始末すべきとか、そういった考えや価値観は出てこずリコリスが憧れであることしか語られません。何故命令違反をしたのかは掘り下げられることなく、千束の影響でDAへの依存は無くなりました。

アクション面でも1~3話はどこかしらガバガバな部分があります。

まず1話では非殺傷用のゴム弾が車のドアを貫通しており、2話では着ぐるみの中にいるはずのウォールナット殺害が目的の集団が、ウォールナットが死んだかを確認せず着ぐるみを銃撃しただけで撤収しました。

3話の模擬戦では、黒い制服であることからたきなと同等の能力の持ち主であると思われるサクラが、千束に奪われた銃を無警戒に取りに行こうとして千束にやられています。

これらは確かにガバですが、やらかしとして批判するほどのものではありません。

車のドアを貫通するゴム弾は、シナリオに影響が出ない描写で指が6本あるような作画ミスとして片づけられるものですし、2話で千束たちが戦った相手も3話のサクラも脇役で、本編には絡まないため見過ごせるレベルでした。

千束とたきなの仲も話数が進むうちに仲良くたったと解釈できますが、何故終盤になってガバガバと指摘されるようになったのかというと、ガバガバが設定やキャラクターの根幹に関わるものだからです。

千束

千束は普段ゴム弾を使用しており、ゴム弾は実弾に比べて命中率が悪い(まともに飛ばない)ため、相手に近づいて撃っていることが4話で千束の口から語られていました。

ですが6話の真島とその部下に襲われた場面には近づいて撃つ描写は無くなり、11話以降では射撃の腕が上がった描写があるわけでもないのに、離れた場所にいる相手にもゴム弾を当てられるようになっています。

また3話の模擬戦ではサクラを圧倒し、腕を伸ばして銃を構えてはいけないとサクラに言った千束ですが、6話では腕を伸ばしたまま真島に近づき目潰しされます。

この千束の撃ち方はC.A.R.システムを参考にしており、そのことが話題にもなりましたが劇中で使われなくなりました。

C.A.R.システムについてはこちらで読むことができます↓

救世主

千束がゴム弾を使用し不殺する理由が、幼い頃吉松から救世主になることを望まれたからだということが後半明らかになりますが、劇中の千束の言動を見ると1話の時点でクリーナーに引き渡した人間がどうなるか特に気にしません。

モブのリコリスが近くにいるのを確認したうえでの地下鉄の爆発や、真島が警察署を襲撃した映像をあっさり流すなど、救世主とは思えない言動をとります(煽り運転に発砲もしていますが、精神的に不安定だったので含めないことにしました)。

千束自身も吉松の言葉に捕らわれて言いなりになり、無理をして救世主を演じているわけでもありません。

千束は他人の死には興味はないけれど、自分の周囲で誰かが死ぬのが嫌なキャラクターなのかとも考えましたが、ここで千束がたきなに言った「他人の期待に応えるために悲しくなるなんてつまらない」という台詞が浮かんできました。

自分がストレスを感じない範囲で救世主をやろうとしていると考えれば、千束の言動については辻褄が合います。

ですがそれでも12話で真島がたきなたちが乗るエレベーターを銃撃しているときに、真島を拘束できるのに何故何もしなかったのかが疑問として現れます。

監督がインタビューで『千束の本質がよくわからない』と発言しているので、千束は思考が謎なキャラクターとして捉えるのが正解かもしれません。

『千束の本質がよくわからない』のインタビューはこちら↓

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たきな

たきなはDAを追い出され、喫茶リコリコで働くことでDAへの依存をなくすまでは話の主軸でしたが、それ以降は「さかな~」や蒲焼太郎、「心臓が逃げる」といった百合とバズらせ要員になっているところがあります。

というのもたきなはアラン機関とも真島とも接点がなく、DAは出し抜かれてばかりでフキが喫茶リコリコに来店して情報を伝えるので、千束とDAの間を繋いだり、DAが持つ情報を千束やミカに伝えるといった役割も持てません。

4話以降は依存先をDAから千束に変えたのかと思うくらい千束のことを気にしますが、劇中の描写を見る限り千束からは頼りになる友人か後輩くらいの扱いを受けています。

千束の吉松やミカへの思いは丁寧に描かれますし、フキとは疎遠でも信頼関係があることが描かれていますが、たきなに対して積極的だったのは序盤だけで、中盤以降はたきなからのみ行動を起こす関係でした。

吉松もミカも千束の内面に影響を与えていますが、たきなは千束の内面に影響を与えてはいません。

4話のさかなとちんあなごもたきなからで、6話の同棲も発案したのはたきななため、無駄に深読みすれば『3話で優しくしたらたきなが自分に依存するようになったから、少し距離をとることにした』といった風にも見ることができます。

アクション面だとたきはな射撃が上手く、2話では車に乗った状態でドローンをハンドガンで撃ち落としていましたが、真島や吉松の秘書には当てられず取り逃がすという序盤とはかけ離れた姿に。

終盤ではシャッターを蹴破るゴリラなキャラクターに変わりました。

1話でフキに殴られた跡は次の回まで残っていたのに、12話ではあっさり血が止まっているのも含め、リコリコのガバガバさの影響を最も受けたキャラクターといえます。

真島

4話から登場した真島はバランスを気にするキャラクターで、リコリスを4人殺害するのに部下が20人以上やられたことにキレていましたが、千束の姿を見てからは千束個人に執着するように。

モブのリコリスにはあっさりとどめを刺すのに、千束だけは殴るなどの舐めプをして結局取り逃がすため、バランスの基準が曖昧なキャラクターです。

かと思えば11話で、日本だけ平和なのはバランスが悪いからDAの存在を明かそうとしますが、千束に会えばアラン機関を一緒に潰そうと提案しました。

どんな思想や理念を元に動いているのかがいまいちはっきりしないキャラクターで、真島役の松岡禎丞さんはインタビューで真島について「よくわからない」とコメントしています↓

1,000丁の銃を町中にばらまいたことがドッキリで片付けられたことについても、地下鉄の爆発は事故で済むのに警察署が襲撃されるのはニュースにできるため、『あの世界の日本は平和だからドッキリで通じる』は厳しいものがあります。

世界観がガバガバだからそうなっているという考え方もできますが。

アラン機関

吉松が所属するアラン機関は才能を世に広めることを目的としています。

人工心臓もアラン機関で生まれた才能の結晶と吉松が評価しますが、そんな人工心臓が普及していない(DAが千束に人工心臓のスペアを用意できない)ため、アラン機関の『才能を世に広める』という方針と矛盾していますが、残り1話しかない現状では触れられることはないでしょう。

クルミが製造元を特定できているので、そこ経由で代わりの人工心臓を入手するという展開はあるかもしれません。

制服は都市迷彩

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リコリコの世界では制服は都市迷彩であるとされていますが、これはそれだけでは無理がある設定です。

制服である以上学生かそのコスプレと見られるため、時間や場所によっては悪目立ちすることは十分あり得ることで、制服が特定されたら同じ制服の一般JKがターゲットとして狙われる可能性があり、リコリスしか着ない制服なら都市迷彩として機能できるのかという疑問が生まれることに。

劇中でも深夜に1人で出歩くモブのリコリスの姿は、都市迷彩が機能しているとはいえないシチュエーションでした。

ですがこれは現実の世界に照らし合わせた話で、リコリコの世界では制服は都市迷彩として機能することが前提の世界観。

鼻にチューブを挿し目が見えているかも分からない電動車椅子の老人に、制服姿で耳にインカムを付けたJKが2人ついていても、当たり前の光景で済むのがリコリコの世界観でした。

この制服は都市迷彩という前提は6話で崩れそうな疑惑が生まれ、11話で崩れかけるのですが12話のドッキリでしたで解決へ。

また制服で狙われることを警戒したり、制服でリコリスだと真島に暴露されるエピソードとは対照的に、吉松の秘書は看護師に変装しての潜入を2回成功させています。

こういうところもガバガバと言われる一因ですね。

DA

そんなリコリスたちの所属するDAですが、隠ぺいばかりで通信障害やバックドアに対して何もせず(何もできず?)、終盤は隠ぺいまで上手くいかなくなるため出し抜かれる描写ばかり目立ちます。

所長の楠木は一見有能そうに見えますが、トイレにこもってミカに電話するくらいのことしか活躍していません。このトイレの場面は絵面の間抜けさにある種のシュールさすらありました。

4話で地下鉄が爆破されたのに、同じような罠が仕掛けられる可能性を考えていないのか真島に会うため現場にも出向きました。それでも真島を捕まえることはできず、DA=無能の印象を作る最大の要因になっています。

また楠木は3話で千束を『リコリスのはねっかえり』と例えますが、そこまでの千束のDAに対する言動を振り返ると、

  • 左遷先(リコリコ)に所属しながらDAの方針を無視するけど、優秀だから小言を言われるだけで済む
  • たまにはリコリスの仕事をするし、研修もなんだかんだで受ける

このようなものであるためはねっかえりというより、『有能で不真面目な窓際管理職』の方が適切な印象を受けました。

手の込んだプロモーション

ガバガバや失速と言われるようになったことには理由があるリコリコですが、土曜日の放送から毎日何かしらの配信や更新があるとても丁寧なプロモーションを行っています。

  • 土曜に放送
  • 日曜にキャストインタビュー掲載
  • 月曜に喫茶リコリコのツイート
  • 火曜に配信とpixiv更新
  • 水曜にリコリス筆記試験
  • 木曜に予告動画
  • 金曜にラジオ

中でも面白いのがキャストインタビューで、サクラやエリカ(1話で人質になっていたリコリスの子)を担当した声優へのインタビューまであります↓

護身術講座というものも(第1弾は7月に配信し、第2弾と第3弾は9月配信)↓

千束の誕生日が最終回放送日の前日というのも、SNSでのトレンド入りを狙ったものでしょう。残り1話でどんな決着がつくのかを楽しみにしたいと思います。

アーティスト:ClariS
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