※以前自分のブログに書いた記事を移したものです。
無双するマジンガーZのように見どころはあるものの、引っ掛かる部分もある映画でした。
あらすじ
- 世界征服を目論む悪の天才科学者Dr.ヘルとの闘いから10年たち、平和になった時代。
- 科学者になった甲児は富士山地中に埋まったマジンガーそっくりの超巨大遺跡・インフィニティと、インフィニティにアクセスできる人型アンドロイド・リサを発見。
- 同時期にDr.ヘルにインフィニティを奪われ、反撃のため甲児はもう1度マジンガーに乗る。
『永井豪画業50周年』として作られた本作は、テレビシリーズ『マジンガーZ』や『グレートマジンガー』と同じ時系列の作品で、グレートマジンガー最終回から10年後の世界が舞台になっています。
マジンガーZのパイロットだった甲児は研究者となり、さやかは新光子力研究所の所長、さやかの父である弦太郎は日本の首相になっていました。
マジンガーZはミュージアムに展示、グレートマジンガーはパイロットの鉄也が統合軍に所属したので、そのまま現役で活動していて、その鉄也がグレートマジンガーごと行方不明になったところから物語が始まります。
インフィニティ奪還のため統合軍は部隊を編成するのですが、ここで甲児にも声がかかりました。
弦太郎は首相として部隊の士気を上げるため甲児にも参加を要請し、光子力が悪用された場合に対処するため、国から支援を受けている新光子力研究所はこれを断れません。
甲児は自分の意思ではなく国からの要請で作戦に参加しましたが、戦力としては期待されておらず、広報のような扱いでした。
『マジンガーZ / INFINITY』は明確な敵が存在しなくなり、光子力がロボットを動かす特別なエネルギーからインフラの一部になっています。
イチナナ式という光子力を動力源にした戦闘用ロボットが大量に生産され、光子力について研究しているのは新光子力研究所だけではありません。
時代が変わり、光子力が光子力研究所だけのものではなくなったため、周囲の見方も変わっています。
ただ光子力や新光子力研究所がどのような立場にあるのかは、序盤のナレーションやさやかの言葉で断片的に語られるだけなので、劇中でさやかが言った「やっかまれている」という言葉がどういう状態を指すのかは描写されませんでした。
リサの出番
リサはインフィニティから現れた少女の姿をした生体アンドロイドであり、体の91%が生体パーツで構成されています。
インフィニティから現れた際、1番近くにいた甲児を自分のマスターと認識し、ご主人様と呼ぶようになるのですが、インフィニティから現れ甲児に抱きかかえられ、次に現れるときは甲児やさやかにすっかり懐いています。
甲児が統合軍とともに出撃したときも甲児やさやかのことを思い涙を流し、Dr.ヘルにインフィニティを抑えられた際は、甲児にさやかと一緒にいることを勧めていました。
リサは生体アンドロイドであり、インフィニティの起動キーである設定とはギャップのある明るく優しいキャラクターですが、甲児やさやかと仲良くなる過程がまったく描かれないので、上記の描写には唐突さがあります。
本作はDr.ヘルやミケーネという敵がいなくなり、平和な社会で様々なしがらみに囚われる甲児たちと、インフィニティやリサが話の軸になるのですが、この両方に触れつつDr.ヘルや機械獣軍団との戦いも描いていたため、全体的に唐突さを感じる映画でした。
特に唐突なのがジュンで、鉄也がインフィニティに囚われていることを知ると、かつての愛機・ビューナスAで単身鉄也の救出に向かおうとしますが失敗し統合軍に拘束されます。
次に現れるときは産気づいて医者や看護師に囲まれている場面で、最後は生まれたばかりの赤ちゃんを抱きかかえて、鉄也と一緒に甲児とさやかのやり取りを見守っていました。
唐突さ以外にもさやか士気を上げるため日本政府から要請され、甲児が統合軍の作戦に参加したさい、「いつまで甲児におんぶにだっこなの」と皮肉を言ったことも引っ掛かります。
台詞自体におかしなところはないのですが、映画では最後までマジンガーZと甲児に頼り切りなままでした。そのことについてのさやかが何か思ったり発言する場面はありません。
インフィニティとマジンガー
インフィニティは巨大なマジンガーに似た姿で、ゴラーゴンという世界を自由に作り変えられる能力を持ち、この能力をDr.ヘルの好きにさせないことが映画後半の目的になります。
インフィニティという名前や世界を作り変える能力。劇中での並行世界の描写などマジンガーZEROを意識して描かれていました。
マジンガーZINFINITEにZERO さんもご満悦だって!?
この笑顔だ!
ガッツリとヒットしていただきたいゼーット! pic.twitter.com/6koXtzUJKH— 余湖裕輝 (@YOGOYUKI) 2018年1月14日
そのためか『真マジンガーZERO』の作画を担当した方がイラストを描いています。
映画の話題に戻りますが、頭部にロボットを収納できるスペースがあり、行方不明になっていた鉄也はグレートマジンガーごとDr.ヘルにインフィニティの起動キーにされます。
本来のキーであるリサが見つからなかったDr.ヘルが代わりに利用したのですが、鉄也とグレートマジンガーがインフィニティの拘束から抜け出すと、Dr.ヘル自身がインフィニティを起動たので、「最初からDr.ヘルが起動すればよかったのでは?」と見ていて思いました。
派手な戦闘シーンはありますが見どころというには短く、細かいことは気にせず見れる構成にもなってないのが本当にもったいないです。
これまで否定的なことを多く書いてきましたが、終盤のマジンガーZと機械獣軍団が戦う場面は、見ていてたまったモヤモヤを解消できる出来でした。
単純にマジンガーZが様々な武器を使って派手に無双するため見ごたえがあり、マジンガーZが好きな方でしたらこの場面だけでも見る価値はあります。
インターバルピース
本作には『マジンガーZ インターバルピース』という前日譚を描いた漫画もあります。こちらではリサの出番はなく、平和な世界で甲児たちがどう生きるかを取り上げていました。
印象的なのが弓親子のエピソードで、平和な時代に光子力研究所やマジンガーZを守るため、光子力の特許や技術を無償で公開するだけでは足りません。
そのため政治の世界に出ることを決めた弦太郎が、さやかに所長の座に就いてほしいと頼みました。
他のエピソードも綺麗に終わるのですが世知辛いものが大半で、『マジンガーZ / INFINITY』が刺さった方にオススメできます。
“ヒロインの妊娠”をめぐる裏話も!脚本担当がキャラ愛を込めた『劇場版 マジンガーZ/INFINITY』|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
劇場公開に合わせて様々なインタビューが存在しますが、その中でも特に面白かったのが上記の脚本を担当した方へのインタビューで、劇中のある描写の元ネタも分かり、『さやかとジュンを巡る“妊娠”事情』という他のアニメではまず見ない見出しもあります。
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