『セイクリッドセブン』は2011年に放送された全12話のアニメで、ジャンルは等身大の変身ヒーローもの。いのまたむつみさんがキャラクター原案として参加しています。
アニメが原作のコミカライズですが、主人公の言動や様々なメイド隊の存在などが面白く、個人的にはアニメよりこちらの方が好きでした。
『セイクリッドセブン ~サムズアップ!アルマ~』はアニメのコミカライズで、当時コミカライズは2つあり、少年エースと少年シリウスで連載。今回取り上げるのは前者です。
基本的な設定はアニメと同じですが、キャラクターの配置がアニメとは別物なレベルで変わっているもののコミカライズとしては十分すぎる出来でした。
アニメについて
17年前にセイクリッドセブンと呼ばれる鉱物が地球に落下しました。
この鉱物は人間のDNAに影響を与えて特殊な能力が使えるようにし、地球の鉱物などにとりつくと暴走して『悪石』という物体になり人に危害を加えるようになります。
セイクリッドセブンは人間にも影響を与え、その力の暴走で周囲を傷つけた経験から人を避けるアルマの前に、藍羽財団のCEOであるルリが現れ力を貸してほしいと申し出ました。
これが大まかな導入ですが、このアニメの評価は芳しくありません。
というのもアニメは10話までは丁寧な描写でしたが、11話と12話が雑といってもいいくらい急展開で話が進んだからです。
元々2クールやる予定が製作途中で1クールに短縮され、さらに13話から12話に短縮されたので仕方ない部分はありますが、そこをどう受け取るかで評価が変わるアニメといえますね。
またこのアニメは1クールの間にオープニングとエンディングが変わっています。ややこしいですが6話までのオープニングが7話からはエンディングになり、6話までのエンディングは逆にオープニングに変わり映像も別物になっていました。
これは元々2クールだったため、2クール目用の映像を途中から使ったからだといわれています。
また『セイクリッドセブン 銀月の翼』という映画もあり、テレビアニメでは掘り下げのなかったナイトにスポットが当たっていました。
サムズアップ!アルマについて
基本的な設定や登場するキャラクターは同じですが、アニメとは全く違うキャラクターもいます。
代表的な例がルリの父親でアニメでは1話の時点で故人ですが、このマンガでは藍羽機関の司令という立場で登場しました。藍羽機関もアニメには存在しない組織で、代わりに藍羽財団は登場しません。
この藍羽機関の基地もアルマたちの通う高校の地下にあるという変わりようです。
アルマも周囲から孤立しているところは変わりませんが、陰鬱な言動をとるアニメに対し人とうまく会話できなくて誰もいない所で落ち込むことも。
鏡に向かって笑顔の練習しているところを他人に見られて涙目になるなどゆるく描かれ、子供の頃ヒーローに憧れていたという設定も加わっています。
原作では不良グループを病院送りにしたことから周囲から怖がられているアルマですが、本作ではルリから話しかけられてもまともに返せないコミュ障っぷりが原因で周囲からも浮き気味。
そのためアニメ1話の日常描写は重いものでしたが、漫画では最初から軽くギャグ色が濃くなっています。
アニメでは敵として現れ終盤に味方となったナイトというキャラクターも、最初から藍羽機関に所属しアルマに対して厳しい態度をとる味方という立場に変わりました。
この藍羽機関はアルマやルリの通う高校の地下に基地が存在するためか、ナイトもアニメでは上半身裸の上にコートを着ていたのに対し、本作では裸なのは同じですがその上に高校のブレザーを着ています。
口調はアニメと変わらず、ルリの父親の養子という設定が加わったため、中二病風なキャラクターが強まっていました。
ナイトはアルマにきつく当たりますが、その理由は自分と同じようにセイクリッドセブンの力を使えるのに、ヘタレで内向的なアルマの言動にいら立っているからだと劇中で判明します。
話の展開もギャグが多いため陰鬱なものにならず、主要なキャラクターはリアクションが豊富でアルマの言動が面白いのもあって、個人的にはアニメより印象に残る漫画でした。
なおアニメが2クールから1クールに短縮された影響を受けてか、本作は2巻で終了します。終盤はアニメのように駆け足で、最後はお手本のような『俺達の戦いはこれからだ』エンドだったのは残念としかいいようがありません。
メイド隊
メイド隊とは藍羽機関(アニメでは藍羽財団)に雇われたメイドのことで、フリルのついたミニスカートのメイド服を着ていますが、アニメでは車やヘリの運転から悪石が出現した際の避難誘導や悪石の追跡など、様々な分野のエキスパートとして活躍します。
アニメではバイト代につられたアルマが格闘技(描写からしておそらく合気道)の稽古を受ける場面があり、本作ではエンゲージメントスーツ(ES)という小型のロボットを操縦するESメイド隊や、学園祭で演奏するメイド音楽隊が存在しました。
公式サイトでメイド1人1人の役割が簡単に説明されていますが、サイトには載っていないライフルで狙撃ができるメイドもいて、下の画像と同じミニスカートのメイド服でスナイパーライフルを構えている姿は強烈です。
余談ですがアニメに出たメイドのうち8人は、それぞれの声優が歌うキャラソンが作られまとめたものがアルバムとして販売し、メイドの名前は担当した声優の下の名前をそのまま引用しています。
セイクリッドセブンはキャラソンに力を入れたコンテンツで、キャラソン2曲にミニドラマを入れたミニアルバムが4枚作られました。
ルリ役の中島愛さんが歌った挿入歌が2曲収録されたサントラと、メイド隊のアルバムやドラマCDを含めると、オープニングとエンディング以外に6つのCDが販売されことになります。
ちなみに『ネガティブリア充』とは、漫画の作者がアルマがどんな主人公なのか聞かれた際に答えたという1巻のコメントが元ネタです。
公式Twitterもありますが最後のツイートがこちらで、これ以降更新はありません↓
【本日発売!「セイクリッドセブン銀月の翼」BD&DVD】
お待たせいたしました!BD&DVD、本日発売となりました!イベント上映でご覧になられた方も、ご覧になられていない方も是非、ナイト、フェイ、ホンユー、そしてアルマ達の熱い輝跡をご覧ください! #sacred7— セイクリッドセブン (@Sacred_7) 2012年4月20日
鎌倉市とのコラボ
公式Twitterでは鎌倉市のお店がいくつか取り上げられていますが、これはセイクリッドセブンが舞台となる鎌倉市とコラボしていたからです。
また鎌倉市側の反応はというと、2014年の『古都・鎌倉に若手起業家が続々移住するワケ』という東洋経済の記事にこのアニメの名前が出てきます。
鎌倉市の市長へのインタビュー形式の内容で、そこでは以下のように触れられています。
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