『機動戦士クロスボーン・ガンダム』シリーズの5作目に当たる『機動戦士クロスボーン・ガンダム DUST』。
宇宙世紀0169年を舞台に、荒廃し技術力が低下した地球圏で生きる人々を描いた本作では、技術力の低下を証明するかのようにミキシングビルドという設定が登場しました。
このミキシングビルドとは技術力も生産能力もなくなったため、複数のモビルスーツのパーツで1機のモビルスーツを組み立てたり、修理に別のモビルスーツのパーツを使うことを指します。
宇宙世紀の様々な時期のモビルスーツをベースにしたモビルスーツが登場するのですが、それだけではなく過去作の設定を使った描写もありました。
4巻は特にそれが顕著であり、4巻のネタバレも含まれる内容で解説します。
ムーン・ムーン
『機動戦士クロスボーン・ガンダム DUST』4巻は、主要キャラクターの1人であるカグヤ・シラトリが、ムーン・ムーンの民の姫であることが明らかになることから始まります。
ムーン・ムーンの民は『機動戦士ガンダムZZ』に登場した旧式のコロニーに住む住民たちのことで、『機動戦士ガンダムZZ』では宇宙世紀の文明とはかけ離れた原始的な暮らしを行い、自分たちを光族と呼称していました。
『機動戦士クロスボーン・ガンダム DUST』では、劇中の10年前に地球へ降下し海底都市リュグージョに移り住んでいます。
当初は海底都市を拠点に地上へ進出する予定でしたが、コロニー暮らしの長かったムーン・ムーンの民にとって地上での暮らしは過酷なものであったため、地上への進出を諦め海底での暮らしを続けていました。
このムーン・ムーンは『機動戦士ガンダムZZ』に登場した設定であるものの、2017年に連載が始まった『機動戦士MOONガンダム』でも重要な場所とされています。
『機動戦士MOONガンダム』の主人公であるユッタ・カーシムも、ムーン・ムーンに住む光族の少年です。
この光族という単語は『機動戦士クロスボーン・ガンダム DUST』では登場しません。
また海底都市とそこに住む人々という設定は『機動戦士Vガンダム』にもあり、そちらでは人工海洋都市アンダーフックという名称で登場したものの、重要な場所ではなく戦闘に巻き込まれ崩壊しました。
余談ですが『機動戦士クロスボーン・ガンダム DUST』ではムーンムーンと呼称しますが、『機動戦士MOONガンダム』ではムーン・ムーンと呼称しており、この記事では後者に合わせています。
クロスボーン・ガンダム X-13
4巻のおおまかなあらすじは、
- 主人公のアッシュがカグヤを連れてムーン・ムーンへ向かう
- 地球に降下しようとしたところでムーン・ムーンへ近づかないよう警告するモビルスーツが現れる
- ムーン・ムーンで起きる陰謀にアッシュたちが巻き込まれる
といった流れです。
この警告するモビルスーツはクロスボーン・ガンダムX-13で、X-13は『機動戦士クロスボーン・ガンダム ゴースト』に登場した、クロスボーン・ガンダムX-0を木星側が回収し再現したコピーです。
X-13は前作『機動戦士クロスボーン・ガンダムゴースト』にて、木星帝国が回収したことが明らかになるクロスボーン・ガンダムX-0をベースに建造されました。
クロスボーン・ガンダムの再現を目指して作られたX-11、木星帝国側の独自色を強めたX-12を経て、コストダウンを目指して作られたのがX-13です。
このX-11とX-12は続編の機動戦士クロスボーン・ガンダムX-11)で登場しているため、DUSTの前後に当たるエピソードともつながりがあります。
本作にデザイン周りで参加した渋谷エヌさんが、初登場時に持っていたロングライフルのデザインをTwitterで公開しています。
(細かく読めば誰でも気づく)クロボンDUSTリビア
押井監督が昔「空想のデザインだからこそ、実在のものをベースにしなければ夢を見させることはできない。特に銃は」的なことを書いていたので、実銃ベースの武器が多めです。
①RDI ストライカー12+デザートイーグル
②H&K M320
③ドラグノフ+StG44 pic.twitter.com/VbRVWpSQgV— 渋谷エヌ (@shibuya_rain140) 2021年3月21日
アッシュが乗るモビルスーツ、アンカーとX-13は戦闘に突入し、その後地球の重力に引かれて大気圏に突入することになるのですが、アッシュはアンカーのシールドと冷却材を使って冷却空間を作り、地上への降下に成功しました。
降下後アッシュは「一年戦争戦記という昔読んだ本を参考にした」と言いますが、一年戦争で大気圏突入したモビルスーツはアムロの乗るガンダムを指します。
テレビ版『機動戦士ガンダム』でアムロは大気圏突入の際、ガンダム内部にある耐熱フィルムを使いました。
劇場版ではシールドを前面に構え、シールドに冷却エアを吹き付けて耐熱フィールドを形成したため、アッシュが参考にしたのは劇場版の手法です。
ムラサメ
初代クロスボーン・ガンダムではクロスボーン・バンガードと木星帝国の戦いを描いていました。
この戦いの後に木星帝国は木星共和国に変わったものの、共和国内にタカ派は存在し地球侵攻を諦めていません。
そんなタカ派とムーン・ムーンは交流を持ち、タカ派は海底都市リュグージョを地球での拠点にしようとしていました。
ムーン・ムーンに潜伏するタカ派は、ムラサメと呼ぶ大型のモビルスーツを使用するのですが、このモビルスーツは実はサイコガンダムであるというサプライズも。
設定としてリュグージョにムーン・ムーンの民が移民したときに発見したもので、リュグージョがムラサメ研究所の近くにあり、何らかの理由で運び込まれたという説が存在します。
特装版
別の話になりますが『機動戦士クロスボーン・ガンダム DUST』4巻には通常版の他に、メカニック設定集のついた同梱版もありました。
この設定集では発売時までのクロスボーン・ガンダムシリーズに登場したモビルスーツの解説が掲載されています。
後に作者である長谷川裕一先生へのインタビューやトミノメモ。メカニック解説を追加したものを『機動戦士クロスボーン・ガンダム メカニック設定集』として単独で販売しています↓
さらこの設定集に『機動戦士クロスボーン・ガンダムX-11』を加えた増補改訂版もあるのですが、こちらは電子書籍版のみの販売で既出の電子書籍版メカニック設定集と入れ替わる形式で発売しました。
現在クロスボーン・ガンダムは特定のキャラクターに焦点を当てたオムニバスを連載中で、新しいクロスボーンガンダムも登場します↓
【昨日発売】
ガンダムエース12月号より新連載がスタートしました!1話目はカラス先生が主役! 巻頭カラー35P!!#クロスボーン外伝#ラブアンドピース#お好きな呼び方でOKです pic.twitter.com/BQbseZwHpm
— 機動戦士クロスボーン・ガンダム【コミック公式】 (@crossbone_comic) 2022年10月27日
▼お仕事
連載開始から約28年目にしてついに登場、海賊帽?をかぶった新型クロスボーンガンダムのデザイン協力をさせていただいてます。いったい何機あるんだ…クロスボーンガンダム… #cb_g pic.twitter.com/okrnpPQh1O
— 渋谷エヌ (@shibuya_rain140) 2022年12月26日
またクロスボーン・ガンダムの第1話はTwitterで公開されています↓
『クロスボーン・ガンダム』第1話:宇宙海賊(1/12)
すべてはここから始まった…!富野由悠季監督自らが原作を担当し、
1994年10月の『月刊少年エース』創刊号より連載開始。「目が2つついていて、アンテナはえてりゃ、マスコミがみんなガンダムにしちまうのさ!」はこの回に。#cb_g pic.twitter.com/mKnrR2HJFI
— 機動戦士クロスボーン・ガンダム【コミック公式】 (@crossbone_comic) 2020年8月26日
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