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【ネタバレあり】異能バトルをしたりしなかったりな虚構推理【7~8巻より】

虚構推理7~8巻の内容やアニメ化した際にあった変化などついて解説します。

7巻

虚構推理(7) (月刊少年マガジンR)

1巻から6巻まで続いた鋼人七瀬のエピソードが終わり、新たなエピソードが始まるのですが、7巻のエピソードは大きく3つに分けられます。

1つは店長に視点を置いた喫茶店でのエピソードで、もう1つはアニメ1期で採用された大蛇が登場するエピソード。

最後の1つはお店でウナギを食べる2人の男性が虚構推理の主人公、琴子と少しだけ接点を持つエピソードです。

茶店のエピソードは30ページほどで、残り2つが90と70ほどのページ数であるため、新章を本格的に始める前の助走といった内容でした。

琴子と九郎のやり取りを楽しむ回であり、その中には琴子が九朗にベレー帽を常に被っている理由を聞かれ、「人の身で神になったのだからベレー帽を被るもの」と答えるものも。

このどこまで本気か分からない持論についてはあっさり流されますが、2人のやり取りを聞いた店長がベレー帽の神様として手塚治虫を思い浮かべていました。

2つ目の大蛇のエピソードは大蛇が自分の住む沼に遺体を捨てた女性の不可解な言動について、琴子に知恵を求めるという流れで始まります↓

ヌシの大蛇は聞いていた

このエピソードはアニメ1期で2から3話前半にかけて扱われましたが、その内容は原作と違う点があるものでした。

真相や琴子が話す内容には大きな違いはありませんが、アニメでは原作2つ目のエピソードであるため、琴子と九郎の距離感が全く違います。

九郎にとって琴子はほぼ初対面なため、

  • 九郎の自宅に押し掛ける琴子
  • 琴子に小学生時代の登山服を着せ、虫よけスプレーをかける九郎
  • 豚汁を理由に同行を断る九郎

原作にあるやり取りですが、アニメ2話だとお互いのことを知ってからあまり時間がたっていません。

加えて九郎が琴子の後をつけ、琴子と大蛇のやり取りをこっそり聞くというアニオリが追加されたため、九郎の琴子に対する言動は違和感があるものとなっていました。

この大蛇の出てくる回は虚構推理の特徴がよく出た回といえます。

琴子は推理をしません。事件の真相はすぐに判明し、真相を元に架空の事情を作り上げ、相手に納得させることが琴子の知恵の神としての基本的な立ち回りです。

そうではない場合もありますが、琴子は推理ではなくすでに判明した事実を元に行動します。

  • 大蛇は不可解に感じた点を琴子に問い、琴子は自説を披露する。
  • それに対し大蛇が意見し、琴子が自説をまた話す。

これが大蛇のエピソードの大半を占めます。

そのため真相がどういったものかから、大蛇をどう納得させるかにやり取りの内容が変わっていきました。

7話最後のエピソードは琴子が推理をしない回です。

偶然琴子と同じ時間にうなぎ屋で食事していた2人組の男性のうち、1人が妻の死で気に病んでいたものの真相が別のところにあり……といった話で、最初から琴子は登場するもののほとんど話に絡みません。

この2人がうなぎ屋に1人で入る琴子について、何者なのか推測するやり取りがあるため、ゲストキャラが偶然出くわした琴子の正体を推理する回ともいえます。

とはいえ琴子が活躍しないわけではなく、知恵の神らしさも出ているため、このエピソードも虚構推理らしさがあるといえるでしょう。

8巻

虚構推理(8) (月刊少年マガジンR)

8巻は160ページかけて電撃のキノッピオを扱っています。

これはアニメだと2期で登場するエピソードで、地方の漁港で魚が大量死する奇妙な出来事が発生しており、その解決を琴子が依頼される内容です↓

第18話 電撃のピノッキオ

このキノッピオの正体が隕石と人の思いで動くのは原作通りですが、アニメ版だと細かい説明が省かれており、原作には隕石にまつわる出来事に話す場面があったのですが、アニメ版にはありません。

またこのエピソードでは多恵と善太というキャラクターが重要なポジションにいます。

多恵は子供を交通事故で亡くし、その賠償金で資産家になってしまったキャラクターです。

一方の善太も交通事故で孫を失くし、その復讐を企てるも自分が行う度胸がなく、復讐を代行する人形を作りました。

それが今回のピノッキオであり、魚が大量死した原因です。

多恵と善太は身内の死に対し自分で行動を起こせなかった点で共通点があります。

善太は人形を使って復讐を果たそうとしますし、多恵は子供だけでなく夫に先立たれたときにも死にたいと思いますがそれを行動には起こしませんでした。

その善太は心不全で既に亡くなっていますが、多恵は80を超えてもランニングできるほど健康です。

そんな多恵はキノッピオの真相や善太の狙いを知った後で、「あたしの人生はいつまで続くんだろうね」と嘆きとも諦めともとれる言葉を口にしますがこれもアニメではカットされました。

またこの人形が出てくるエピソードの特徴として、アクションが多めにあることが挙げられます。

人形は周囲の怪異にとっても脅威であるため、大蟹と猩々が人形を倒そうとしますが失敗する場面や、九郎が電撃で何回もやられながら人形を拘束する未来をつかみ取る場面がありました。

この人形を拘束する仕組みも原作では細かく描いていたのですが、アニメではあっさりと済ませます。

また最後の九郎と琴子のやり取りで、『ピノッキオは人間になって幸福なのか』を問いかける物語の存在を口にしますが、これはピノッキオではなく人造人間キカイダーが元ネタです。

この回はコミカライズを担当している片瀬茶柴先生が放送に合わせてイラストをTwitterに投稿しています↓

8巻のもう1つのエピソードは30ページほどの内容で、琴子が豆腐小僧に試食を頼まれるところから始まる内容。

こちらは豆腐小僧が小僧(子供)である以上、大人との味覚との差が存在するため味の追及に限界があるというシビアな面を描きつつもギャグ色の濃い回です。

最終的には琴子のアドバイス豆腐小僧が納得して受け入れるかたちで収まるので、琴子が知恵の神の役割を果たしたともいえます。

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