休むことをテーマにした本作について、2巻までの内容に触れながら解説します。
あらすじ
締め切りに追われる作家のはるかが、忙しい毎日の合間を縫ってわずかな時間で気持ちをリセット。ご近所散策、銭湯、近場グルメ、公園満喫…まとまった休みが取れなくても、遠くへ旅行に行けなくても、少しの発想の切り替えで、ワクワクできる「休み」は満喫できる! 休みが足りないすべての人に、はるかがステキな休日を贈ります!
本作について
『はるかリセット』の作者は野上武志先生で、2021年7月からマンガクロスで連載中の作品です。
主人公は専業作家の天野はるかで、小説やエッセイなど様々なジャンルを手がけているのですが、締め切りに追われる毎日でストレスが溜まってしまうことも。
そんなときに『初期化(リセット)』と称して、近所の銭湯やマッサージ、遠出して温泉やグルメなどを楽しむことで気分転換を図ります。
その様子を綴ったエッセイを依頼されており、本になったという形式で『はるかリセット』は出版されています。
そのため単行本の作者がコメントを載せるページには、作者の野上武志先生ではなくはるかのコメントが載っているというメタな要素もあり、作者のコメントは巻末のあとがきにありました。
『はるかリセット』は現代社会で生きる人々、特に自営業やフリーランスの方に贈る癒し系漫画ともいえる内容で、仕事だけではなく自分自身も大切にすべきであることを教えてくれる一面もあります。
また『リセット』だけでなく息抜きした後に仕事に戻ることを指す、『再起動(リブート)』という言葉も重要なキーワードです。
『リセット』ばかりしていても仕事が進みませんし、『リブート』だけで心身ともに疲れ果てます。
適度に『リセット』と『リブート』を繰り返すことが、仕事の効率と質を上げる秘訣なのではないでしょうか。
また本作の特徴として休むことをテーマにしていることが挙げられます。
食事やお酒、サウナなどのお店でリラックスする漫画は珍しいものではなく、本作でも同じように食事もお酒もとり、お店にも通います。
ですがはるかの目的はそれらではなく、休んで自分を『リセット』することにあります。そのため全体を通しての一貫性は休むこと以外はありません。
食事回もあればサウナ回もありますし、旅行に行くこともあります。プールに泳ぎにいくこともあれば美術館にも通います。
献血に行き採血されながらネタを思い浮かべることもあれば、仕事が終わった後でただ眠る回もありました。
いくつか挙げた中で印象的なのはサウナ回と眠る回です。
サウナ回は仕事が一段落したものの疲れで体の芯がだるく、疲れているのに休む方法も思いつかず、何を着るか何を食べるかといった行動も決められないはるかが出てきます。
そんなはるかは自身の状態を集中力が『断片化(フラグメント)』していると例えていました。
また眠る回なのですが仕事明けで疲れがたまった状態から始まるのもあってか、はるかがオススメの入眠方法を語るので、同じように仕事明けは寝付けない方などは参考になるかもしれません。
話自体は1話かけて仕事明けに眠って起きるだけの内容ですが、睡眠という人間にとって大事なものについて『リセット』の観点から描いた回でもあるため、『はるかリセット』らしさの特徴が特に出た回です。
9巻までの内容ではるかが出かけた行き先は公式アカウントによってリストが作られています。
このアカウントは本編の一部を公開しており、リンク先で読むことができます。
今年の正月、作者のアカウントでイラスト付きツイートを投稿しています。
謹賀新”休” pic.twitter.com/Qol0zcKrZX
余談
作者は美少女とミリタリーを掛け合わせた漫画やコミカライズを複数手掛けており、
などが過去作にあり、このような経歴からかリコリス・リコイル 公式コミックアンソロジー リアクトの表紙も手掛けています。
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