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落ち着いた雰囲気のロボットアニメに興味があるなら見てほしい『THE ビッグオー』第6話

独自の魅力を持つアニメ『THE ビッグオー』の中でも特に魅力的な第6話『A Legacy of Amadeus』について解説します。

作品全体のあらすじ

40年以上前のメモリー(記憶)がすべて失われた街「パラダイムシティ」。そこには様々なトラブルの解決を仕事とする男がいた。彼の名はロジャー・スミス。日々発生するさまざまなトラブルを解決するプロのネゴシエイター(交渉人)だ。ロジャーは巨大ロボット「ビッグオー」を操り、数々の事件を解決してゆく……。

Amazonより

本作について

THE ビッグオーは、1999年から2000年にかけて放送されたロボットアニメです。

当初は2クール予定だったものの1クールに短縮されるという経緯がありましたが、アメリカでの好評により続編が決定。

昨年『MODEROID ビッグオー』が発表された根強い人気を持つアニメです。

2期はTHE ビッグオー second season』というタイトルで2002年~2003年の間に1期1話から放送しました。今回取り上げるのはその6話です。

主人公は40年前から昔の記憶がないパラダイムシティのネゴシエイター、ロジャー・スミス

本作は1960~1970年の特撮やアメコミをベースにSFやスチームパンクなどの要素を取り入れた独特の世界観と、謎に満ちたストーリーが魅力的な作品です。

ロジャーはネゴシエイターとして様々な出来事に関わる傍ら、メガデウスと呼称される巨大ロボット『ビッグオー』を操り戦っていく……といった内容。

ロジャーの執事であるノーマンと、1~2話のエピソードを切っ掛けにロジャーの屋敷に住み着き、メイドのような立場についた人間そっくりのアンドロイドであるドロシーと、ロジャーを合わせた3人が主なキャラクターです。

6話について

この回はロジャーがドロシーがピアノで奏でる激しい音楽で起こされるところから始まります。

ドロシーの演奏が不快だったロジャーは、ビストロ『アマデウス』で譜面に正確ではなく誠実にピアノを演奏するとロジャーが評価するアンドロイド、インストルを訪ねてドロシーにピアノを教えてくれるよう頼みました。

このインストルは天才科学者アマデウスによってつくられたアンドロイドですが、アマデウスが共同開発者であるギーゼングとともに建造したメガデウス、コンスタンチェの起動用インストゥルメントでもあります。

インストルはピアニストとしての自分と起動用インストゥルメントとしての自分の間で悩んでいたものの、起動用インストゥルメントとしての自分を受け入れ、父の復讐のためコンスタンチェに搭乗しました。

ロジャーはインストルとギーゼングのやり取りに疑問を持ち、独自に調べていたもののインストルがコンスタンチェに搭乗するのを止められず、ビッグオーにコンスタンチェの前に立ちはだかります。

ドロシーの心情

この回の特徴としてはまず、ドロシーの心情が丁寧に描かれていることが挙げられます。

ドロシーにとってピアノは昼になっても起きないロジャーを起こすための道具でしかなかったものの、インストルからピアノについて教わるうちに屋敷のピアノがインストルのピアノと比べて調律の甘いことに気づくようになりました。

この描写上がることでインストルが消息不明になったときに、ドロシーがインストル救出をロジャーに依頼する流れも自然なものになっています。

「で、報酬は?」

「あの曲をもっとうまく弾けるようになるわ」

「素敵な報酬だ」

この依頼時のやり取りも素敵なもので6話の魅力を引き上げる要因の1つです。

父の遺産

インストルは父の遺産にコンスタンチェというメガデウスがあり、パラダイム社への復讐を考えていたことにショックを受けていました。

コンスタンチェに搭乗したのもヤケになっていた部分が大きく、ロジャーがコンスタンチェを破壊したことに感謝します。

インストルはコンスタンチェを操縦するために自身の両手を犠牲にしており、インストルの手はアマデウスにしか再現できません。

その後の描写ではインストルはピアノを練習しているため、インストルの両手は元に戻らなかったものの、自身の記憶を頼りに新しい両手でピアノを練習しているのだと思われます。

このときドロシーが練習に付き合っているため、教える側と教わる側が逆転したような構図になりつつ、導入と同じ出来事を繰り返す6話のオチへも繋がっていました。

インストルが自身のピアノに関する記憶こそ父の遺産と捉え、「ピアノの練習がこんなに楽しい事だったなんて」と喜ぶことも爽やかな前振りです。

見事なオチ

この回は最後、昼過ぎでも起きないロジャーをドロシーがピアノの激しい演奏で起こしたところで終わります。

ドロシーの演奏で始まった6話はドロシーの演奏で終わるのですが、この最後の場面でもインストルがドロシーの演奏を素晴らしいと評価するエピソードが加えられています。

只の繰り返しだけではなく、インストルが加わることで綺麗にオチました。

ロジャーに降りかかる謎

綺麗に終わる6話ですが、謎を匂わせる要素もあります。

ロジャーはインストルを説得する際、『アマデウスが復讐のためにインストルを作ったのなら人に似た姿にしていない』いったことを口にして説得していました。

この台詞自体におかしな点はありませんが、ロジャー自身にもかかってくる台詞でもあります。

というのもロジャーがビッグオーに登場する際、ビッグオーのモニターにはある言葉が流れます。

CAST IN THE NAME OF GOD,
― 我、神の名においてこれを鋳造する ―
YE NOT GUILTY.
― 汝ら罪なし ―

この鋳造という単語がビッグオーとロジャー、このどちらを指しているのかは6話の時点では明らかになってません。

またロジャーがビッグオーを所有するようになったきっかけも明らかになってはおらず、5話では『自分でも理由は分からないがメガデウスを操縦できるようになったキャラクター』が出てきます。

6話は単独でも良質ですがそれだけでははない内容でした。

1話配信中

本作はYouTubeサンライズチャンネルで1話を見ることができ、本作独特の雰囲気を掴むことができます。

この1話で刺さるものがどこかにあれば、そのまま今回取り上げた6話、もしくは1期の最終回に当たる13話まで視聴してみてはいかがでしょうか。

6話も見ることができますがサンライズチャンネルの今までの投稿を考えると、数日中に見れなくなると考えられます。

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