2023年秋アニメ『ウマ娘 プリティーダービー Season 3』。
本作の2~4話についての解説記事です。ネタバレを含みますのでご注意ください。
2話
ドゥラメンテに惨敗してしまったキタサンは、自信を失い落ち込んだ日々を過ごしていた。テイオーのようなキラキラ輝くウマ娘になれないかもしれない……そんな気持ちを抱いたまま、トレーニングを続けるキタサン。そんなある日、キタサンの耳にあるニュースが飛び込む。
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公開されたOPとED
第2話は本編より先にOPとEDを取り上げるべきでしょう。
OPはキタサンブラック、サトノダイヤモンド、サトノクラウン、シュヴァルグラン、サウンズオブアース、ドゥラメンテの6人が歌う楽曲です。
主に2期で活躍したキャラクターやチーム・スピカの面々が登場しつつも、歌唱する6人のレースで走る姿が描かれており、世代交代を感じさせる内容でした。
特に印象に残ったのが動画の1分10秒当たりからのサトノクラウンが走る場面で、コースの外側に柵が見えることから香港の競馬場の許可が取れたことを匂わせつつ、サトノクラウンの必死な表情に目が奪われます。
ヴィルシーナとヴィブロス?
OP動画の39秒くらいに初登場のウマ娘が2人登場しました。
この2人については名前は発表されていませんが、競走馬シュヴァルグランの姉と妹に当たるヴィルシーナとヴィブロスではないかという説があります。
競走馬のヴィルシーナとヴィブロスはメディアの取材に、『ヴィルシーナは神楽坂のおばんざい屋の女将さんタイプ、ヴィブロスはギャルタイプ』と答えたものがあり、右側のキャラクターがヴィブロスではないかと見られています。
またOPの動画の42秒ほどに逃げるメジロパーマーとダイタクヘリオスを追いかけるエアグルーヴが映っりました。
『ヴィブロスはギャルタイプ』という発言をベースに、右側のキャラクターはメジロパーマーとダイタクヘリオスと劇中で関わりながら登場するかもしれません。
サッポロ生ビール黒ラベル?
1期のEDを彷彿とさせるこのEDではチア衣装を着たキタサンが登場しますが、その中には黒い背景に星のマークをバックにした構図があります。
この星マークは有馬記念に勝利した競走馬と、その騎手のイラストがついたサッポロ生ビール黒ラベルを発売する『JRA有馬記念缶』の企画が元ネタでしょう。
活躍するナイスネイチャ
2期では影の主役ともいえる活躍をしたナイスネイチャ。
競走馬ナイスネイチャが3という数字と縁があるためか、3期ではスピカの面々より出番がありました。
1話の記事でも触れましたが、2話のドゥラメンテは2期2話のトウカイテイオーに似た立場であるため、キタサンへの助言役としてネイチャが活躍するというのは上手い配役です。
何故ならトウカイテイオーとドゥラメンテに共通点があるため、キタサンが憧れるテイオーにキタサンの同期で最も近かったのがドゥラメンテであるという構図が出来上がるためです。
どこまで計算して『キタサンがテイオーに憧れている』という設定にしたのかは分かりませんが、キタサン、テイオー、ドゥラメンテで関係性を作ったスタッフには見事としかいえません。
加えてアイキャッチで腹筋が割れたチアネイチャも登場するため、インパクトとしては十分すぎるものがありました。
アニメ2期の補完
ドゥラメンテに自分のなりたい姿も勝利も奪われたキタサンは、ドゥラメンテが負傷したニュースに対し複雑な感情を示しました。
その中にはドゥラメンテが出なければ菊花賞で勝てるかもしれないというのもあります。
スピカの面々がキタサンはドゥラメンテと走れないことを悔しがっているだろうと話していたことも立ち聞きしてしまい、キタサンは自己嫌悪に陥りました。
そんなキタサンに対し、ネイチャは自身の菊花賞時の話をし、「テイオーがいれば」という周囲の声に対し「ふざけんな」と思い、そのうえでカッコ悪くても自分らしく走ることを伝えます。
また2話では、2期でカットされたテイオーが出走した皐月賞なども少しですが描写されており、2期の補完という一面もあります。
期待されていないキタサン?
ネイチャの助言で復活したキタサンは、誰にも応援されなくても走る決意のもとレースに臨みました。この極端な動機は、競走馬キタサンブラックの菊花賞での実況が元になっているのではないでしょうか。
というのもこの動画の中継に意識を向けると分かりますが、レース中実況のアナウンサーは最後の直線までキタサンブラックに全くといっていいくらい触れていないからです。
3話
菊花賞に勝ったキタサンは有マ記念に出走することに。憧れのレースに出られると喜ぶその一方で、ゴールドシップは柄にもなく思いつめた様子でいた。レースも差し迫った冬のある日、突如記者会見を開いたゴールドシップは驚きの発表をする。
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引退描写
3話でネイチャの助言をきっけけで火が付き、菊花賞を勝利したキタサンが、有マ記念で自分らしさの権化ともいえるゴールドシップとぶつかることになる3話。
伸び盛りのキタサンとは対照的に、いままでのようには走れなくなったゴールドシップにスポットが当たる回であり、1期や2期では曖昧だったトゥインクル・シリーズから引退することに踏み込んだ回でもあります。
ゴールドシップ役の上田瞳さんへのインタビューでも、今まではふざけていたりギャグキャラだったゴールドシップのレースを描くことについて、様々な感情があったことに触れています。
昔のような捲りができず、息を吐きながら減速する姿にはもの悲しさがありました。
1期や2期と違ってはっきりと衰えを描いており、育ち盛りのキタサンが全盛期になり衰退していくまでを描写していく前振りかもしれません。
そして最後にゴールドシップはオルフェーヴルとジェンティルドンナの名前を口にしました。
どちらもウマ娘では未登場であるため、今後登場することが期待できます。
またゴールドシップが1期から持っていたルービックキューブは、有マ記念で3着だったキタサンに渡されました。
1期の頃から何故か持っていたこちらですが、競走馬ゴールドシップがG1を6つとっていたことが由来であり、キタサンへの世代交代へのギミックとしても使われています。
ある意味5年以上かけた伏線回収ともいえるルービックキューブですが、全面ゴールドシップな代物が以前商品化していました。
既に販売は終了しており、手に入れるにはAmazonや楽天などで中古を買うかメルカリなどを利用するしかありません。
濃いサウンズオブアース
3期からのキャラクターであり、3話で初めて台詞があったサウンズオブアース。
その出番は短いものでしたが、バイオリンを実際には弾いておらず音楽を鳴らしていただけだったり、その音楽を流しながらキタサンに迫るなど、短い出番でもカノープスの新メンバーとして十分な存在感を発揮します。
このバイオリンですが、3期でアニメーションキャラクターデザインを担当したうちの1人である辻智子さんが、1話放送前の応援イラストでバイオリンにスイッチを加えていたことに言及していました。
シニア級とドリームトロフィーリーグ
有馬記念への出走が決まったキタサンに対し、トレーナーは有馬記念では心身ともに充実したシニア級が相手になることを伝えました。
シニア級という名称はゲームでは聞きなれたもので、1期の頃はジュニアクラスやシニアクラスの設定はありましたが、シニア級という単語そのものはアニメでは初出です。
<トゥインクル・シリーズ>は年少のジュニアクラスと年長のシニアクラスにわかれており、出走できるレースが異なる。ジュニアクラスにはA組・B組・C組が該当し、ジュニア最年長のC組は日本ダービーに代表されるクラシック三冠レースに出走できる。
©2018 アニメ「ウマ娘 プリティーダービー」製作委員会
ゲームや3期とは違う設定であるため、今に至るまでの試行錯誤が感じ取れる説明で、1期で似た単語が存在していたのはドリームトロフィーリーグも同じです。
1期ではドリーム・シリーズという名称で、以下の設定がありました。
主に夏と冬の2レースが開催され、それぞれサマードリームトロフィー(通称SDT)、ウィンタードリームトロフィー(通称WDT)と呼ばれる。選ばれたウマ娘のみが参加でき、シリーズへの参加条件は秘匿とされている。他にも短距離を得意とするウマ娘が参加する<ドリーム・シリーズ・スプリント>やダートコースを得意とするウマ娘が参加する<ドリーム・シリーズ・ダート>などのシリーズがあるらしい。
©2018 アニメ「ウマ娘 プリティーダービー」製作委員会
2期の劇中ではドリームトロフィーへの言及はなかったものの、公式サイトのスペシャルウィークの紹介文に『日本一のウマ娘を目指し、今はドリームトロフィーリーグで活躍中』と記載あり。
ゲームの用語集にもドリームトロフィーリーグの項目があり、そちらは要約すると以下のように書いてあります。
トゥインクル・シリーズで好成績を収めたウマ娘たちのレースプログラム。
SDTとWDTの2つのドリームレースとその予選リーグで構成されている。
ドリームトロフィーリーグへ移籍したらトゥインクル・シリーズには戻れない。
ゲームでは一部のキャラクターの育成シナリオに登場し、サクラチヨノオーの育成シナリオではマルゼンスキーが招待状を受け取るエピソードがあります。
この場面でもシンボリルドルフがドリームトロフィーリーグについて、競技性よりもスター性を重視するレースであり、トゥインクル・シリーズには戻れないとも語っています。
別の匂わせも
中盤いつもの人助けをしていたキタサンですが、お店の名前は八百屋ではなく八百重と看板にありました。
これに加えて隣の店の名前が和田商店であること、段ボールの数が手前は13で奥が6であることから、障害競走に出走した競走馬をモデルにしたウマ娘の匂わせではないかという話を見かけます。
2024年発売予定の『ウマ娘 プリティーダービー 熱血ハチャメチャ大感謝祭!』では、見知らぬウマ娘がタイトルに映っているので、障害競走からもウマ娘が登場するというのはあり得ることだと思います。
4話
直近のレースで2着、3着と惜敗の続いたキタサン。自分にはレースに勝ち切るための何かが足りないと思い悩み、ナイスネイチャに相談していると、ひょんなことから自分の長所は丈夫な体だと気付く。早速トレーナーに頼み込み、キタサンはかつてない猛特訓を始めるが……
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スタミナのあるキタサン
2話の回想でダイヤと走る場面でも、ダイヤが肩で息をしているのにキタサンは平然としており、菊花賞勝利後も笑顔で手を振っています。
3話でも有マ記念出場が決まったキタサンはトレーニングに励みますが、疲労を隠せないゴルシと対比するように疲れた様子がありません。
スタミナある描写は4話でも回想でダイヤは疲れていてもキタサンは疲れた様子がない姿を描くことで描写されています。
このスタミナに加えて体の頑丈さも判明し、ハードトレーニングに挑むことになるのが4話の導入です。
パワートレーニング
キタサンのハードトレーニングのため再登場したミホノブルボンとライスシャワー。
特訓は山登りや崖登り、瓦割など様々でしたが、この中でも瓦割はゲームの構図を再現しているため、見ているだけで笑えました。
ゲームを意識した演出では他にも、2期ではミホノブルボンはライスを呼び捨てにしていたものの、4話ではゲーム同様にさん付けしているというのもあります。
また競走馬のミホノブルボンとキタサンブラックは共通点が指摘されており、トレーニングのパートナーとしてミホノブルボンが登場したのはそれが由来と考えられます。
皐月賞のダイヤ
キタサンがハードトレーニングに励む間、3話でデビューしたダイヤは4話で皐月賞に挑むものの結果は3着。
ですがダイヤは落ち込んだ描写を見せず、切り替えて日本ダービーに照準を定めました。そんなダイヤの姿に影響を受け、キタサンは伸び悩みを乗り越えて天皇賞(春)を勝利します。
スピカの出番の少なさと止め絵だけの天皇賞(春)、サトノクラウンやシュヴァルグランが3話で登場したことからキタサン中心の話は4話で終わり、ここからキタサンのライバルたちにスポットが当たるのではないかと予想しています。
特殊EDは配信済み
4話のEDで流れた『空のほほえみ方』は配信が始まっており、『アコガレChallenge Dash!!』と同じCDに収録されることが発表されています。
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