MENU

【閃光のハサウェイ】ハサウェイには観光やゴミ拾いをする余裕がなかった話

以前、X(旧Twitter)で映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』関連のあるポストがバズりました。

それは『海岸のゴミ拾いをしないハサウェイ・ノアは地球の環境には興味がない』というもので、これは正しい指摘に見えるもののハサウェイの心情や宇宙世紀に存在する思想を無視した考えた方であり、そのことについて書いていきます。

目次

ハサウェイの心情

まず海岸で座り込んでいる場面ですが、ホテルの襲撃後にただぶらぶらと歩いていた後のため、奇妙な動きに見えるもののこれには理由があります。マフティーの仲間と連絡が取れないまま仲間を探しているからです。

マフティーはハサウェイがマフティーの関係者ではないと証明しつつマフティーと合流するため、ハサウェイやギギ・アンダルシアが宿泊するホテルを攻撃しました。

この計画は途中までは上手くいったものの、精神が不安定になったギギがらハサウェイが離れられなかったため、仲間(エメラルダ・ズービン)と合流できず計画は失敗。

またホテルを攻撃したマフティーのモビルスーツ・メッサーのパイロットであるガウマン・ノビルは捕まりました。

加えて映画ではカットされていますが、原作の小説ではこの攻撃で民間人に死者が300人以上いたことがケネスによって語られます。

そのためこのときのハサウェイは自分のためにホテルをマフティーに攻撃させたものの、

・ギギを見捨てられずハサウェイはマフティーとの合流に失敗

・ガウマンは捕まり民間人に300人以上の犠牲者が出る

・ハサウェイはマフティーに連絡する手段がないまま、仲間たちが自分を見つけることを期待して街をうろつくことに

という結果になりました。

ハサウェイにはゴミ拾いや観光をする精神的な余裕はありません。

ジオニズムとコントリズムとエレズムという思想

映画の劇中を見ての通り、地球の環境は人が住めないほど汚れてはいません。それでもハサウェイを含むマフティーは地球は汚染され、地球から人類は出て宇宙に住むべきだという思想を持っています。

このことに疑問を持つ方もいるでしょうが、これは宇宙世紀にあるジオニズムやその元になったエレズムとコントリズムという思想からきています。

エレズム

エレズムは宇宙世紀0040年台半ばに生まれた思想で、地球を聖地として保護し、全人類は宇宙へ住むべきだとする考え方です。

元々宇宙世紀の世界で人類が宇宙に住むようになったのは人口が増えすぎたためなのですが、地球の人口が減ると宇宙への移民も減り、結果として特権階級の人間やその生活を支える人間が地球に住み続け、そうではない人間が宇宙に住むことになりました。

また宇宙に移民した人間が地球に戻ることは難しく、厳しい宇宙の環境で生活する中で、地球は母なる大地としての神聖なものとして捉える考え方が生まれます。

この思想がエレズムでスペースノイド(宇宙移民者)の間で広まり、以後の宇宙世紀にも影響を与えました。

  • 『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』でシャア・アズナブル率いるネオ・ジオンは、小惑星アクシズを地球に落下させ地球を人が住めない星にしようとしたこと
  • 『機動戦士Vガンダム』のザンスカール帝国が行った地球クリーン作戦も、人や建造物をタイヤで轢くというやり方

こういった描写にエレズムの影響を見てとれます。

『地球の環境を守るために地球でテロや破壊活動を行う』というのは一見矛盾しているものの、この思想に基づいています。

コントリズム

コントリズムはスペースノイドが経済的にも政治的にも自活可能であり、連邦政府と対等な自治権を持つことができるという思想です。

ジオン・ダイクンは演説で『サイドの自治権、コロニーの主権を持つことは、地球に存在する主権に拮抗させるためのものではない』と語り、人類が一人残らず宇宙に翔び、地球圏そのものの主権をサイドの連合に置き地球を人類全体の聖地として守るべきだと訴えました。

コントリズムはジオン共和国の独立宣言につながり、一年戦争が始まる下地が作られていきます。

この2つの思想に『人類は過酷な宇宙環境に進出・適応することで進化した人類(ニュータイプ)になれる』という概念を組み合わせたものがジオニズムです。

ブログランキング・にほんブログ村へ人気ブログランキング
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA

目次