昨年末にプレミアムバンダイで予約を受け付け、好評をいただいたという公式のコメントが出た『HG 1/144 イフリート・イェーガー』。
イフリートとしては5機目にあたるモビルスーツで、今回は四半世紀以上の時間をかけて様々な姿で登場するイフリートについて簡単に取り上げます。
イフリート
型式番号はMS-08TX。『機動戦士ガンダム CROSS DIMENSION 0079』のオリジナルストーリー『死にゆく者たちへの祈り』に登場。
型式番号から分かるようにグフ(MS-07B)とドム(MS-09)の間にあたる試作機とされていますが、グフはジオニック社が開発、ドムはツィマッド社が開発しているので諸説あります。
主な武装は専用のヒートサーベルとショットガン。8機生産されたものの量産はされていません。
理由として
- 生産性や操作性が劣悪だったため
- ジオンの官僚が宇宙至上主義だったため
と複数の理由が挙げられていました。元のゲームが1995年発売なこともあって設定に固まりきっていないところがあります。
ゲームでは犯罪者で編成されたウルフ・ガー隊の隊長ヘンリー・ブーンが、試作機を改造した4号機に搭乗。ゴビ砂漠でアルバトロス輸送中隊を襲撃しました。
『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』や『∀ガンダム』に登場する予定もありましたが、どちらも没になっています。
特に08小隊の方は監督がイフリートをノリス・パッカードが乗るグフの愛称だと勘違いしていたため、代わりにグフカスタムが登場することになったという逸話も。
『CROSS DIMENSION 0079』のオリジナルストーリーは4部作まであったものの、容量などの都合で2部作目にあたる『死にゆく者たちへの祈り』のみ実装という裏話もありました。
このオリジナルストーリーですがタイトルの1つは『樹氷の魔女』といい、関連はないでしょうが新作ガンダムのタイトル(水星の魔女)に近いネーミングです。
イフリート改
型式番号はMS-08TX[EXAM]。『機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY』に登場。
『EXAMシステム』を搭載した実験機で、システムの冷却装置が大型になっていしまい、イフリートに比べて頭部が肥大化しています。
両腕にグレネードランチャー、脚部にミサイルポッドを装備しているものの、ヒートサーベルを2つ装備していることから分かるように接近戦が主体であることは変わりません。
BLUE DESTINYは全3部作で、2作目の『蒼を受け継ぐ者』に登場。ニムバス・シュターゼンが搭乗し、『蒼を受け継ぐ者』のボスキャラとしてキャリフォルニアベースに登場。
プレイヤーが操作するブルーディスティニー1号機が勝利すると、不意打ちを仕掛けて相打ちになるイベントが起きます。
このボス戦以降出番はありませんがブルーディスティニー1号機と合わせて、少ない出番で強い印象を残すモビルスーツでした。
余談ですがパイロットのニムバスはジオンの騎士を自称する点は共通しているものの、残酷だったり騎士道精神があったり、EXAMシステムの元になったマリオンに劣等感を抱えていたりそうでなかったりと、作品によって描写に差があるキャラクターになっています。
漫画『機動戦士ガンダム外伝 ザ・ブルー・ディスティニー』では、宇宙試験用のイフリート改(空間戦仕様)が登場します。
イフリート・ナハト
型式番号はMS-08TX/N。『機動戦士ガンダム戦記』に登場。
忍者刀のような実体剣「ナハトブレード」と、投擲用小型実体剣「コールドクナイ」、その他に左腕部3連装ガトリング砲を装備したモビルスーツで、ジャミング機能も搭載しています。
一年戦争終了後、連邦軍のに接収されていましたがジオン残党の『インビジブル・ナイツ』が強奪し、同部隊の隊長エリク・ブランケが搭乗。
終盤戦いの舞台が宇宙に移り、宇宙へ向かうためHLVに乗るインビジブル・ナイツ隊を守るために、同部隊の整備長クリスト・デーアが搭乗しました。
イフリート・シュナイド
型式番号はMS-08TX/S。初出は『機動戦士ガンダムUC』。
イフリートとしては現在唯一のアニメが初出のモビルスーツです。
機体各部に投擲用の小型剣『ヒートダート』を装備しているのが特徴で、ガンダムUCではカークス隊とともにトリントン基地を襲撃し、撃墜されることなく脱出します。
その後については『機動戦士ガンダムUC 『袖付き』の機付長は詩詠う』で触れられ、パイロットとともにモビルスーツを所有する海賊に所属するものの、実はスパイで海賊側のモビルスーツと戦うエピソートがあります。
また『機動戦士ガンダム サイドストーリーズ』収録の『機動戦士ガンダム外伝 ミッシングリンク』にて、元々はジオン軍のマルコシアス隊に配備されたイフリート5号機であることが判明。
機体名のシュナイドがマルコシアス隊配備時のパイロットの名前、ダグ・シュナイドからきていることも明らかになります。
イフリート・イェーガー
型式番号はMS-08TX[NF]。『機動戦士ガンダム バトルオペレーション2』のDLCである『機動戦士ガンダム バトルオペレーション Code Fairy』 が初出です。
ノイジー・フェアリー隊に配備されたイフリートに、イフリート・ナハトの技術が盛り込まれ、専用狙撃ライフルや ヒート・ナイフ、ショットガンを装備することで近接戦から狙撃まで可能になったモビルスーツ。
イフリート時のパイロットは近接戦が得意なアルマ・シュティルナー、イェーガーに改修されてからは狙撃が得意なヘレナ・ヘーゲルがパイロットを務めています。
機体名の後ろにイェーガーとつくのは、『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』に登場したゲルググJ(イェーガー)が前例として存在しますが関連は不明。
余談ですがこのノイジー・フェアリー隊の隊長キリー・ギャレットと、イアン・グレーデンは本作オリジナルのキャラクターではありません。
元々はMSVに名前のあったキャラクターで、キリーはキャリフォルニアベースでハーピーのエンブレムが描かれたザクⅡに乗っていたというのが初出。
イアンは緑色の専用ザクキャノンに搭乗し、ケープカナベラル基地で終戦を迎えて投降。その後ジオン共和国に帰国したといわれています。
またイアンは本作より先に『機動戦士ガンダム ギレンの野望 ジオン独立戦争記』にも登場し、ジオン独立戦争記では速水奨さん、Code Fairyでは松田健一郎さんが声を担当しました。
以上が2022年4月現在までに登場したイフリートの全てで、全8機という設定があるためイフリートの半分以上は登場済みということになります。
ですが今後『修理用のパーツや余剰のパーツを使ったイフリートのようなモビルスーツ』、『未完成のまま放置されていたが一年戦争後改修され生まれ変わったイフリート』といったかたちで新しいイフリートが現れるかもしれません。
こんな記事もあります
コメント