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【機動戦士ガンダムU.C.HARD GRAPH 鉄の駻馬】ネタバレ解説【『時間よ、とまれ』が原作】

『機動戦士ガンダム』に1話だけ登場したゲストキャラクターが主役の本作について、ネタバレありで書いた解説記事です。

目次

本作について

本作は夏元雅人さん作画、今西隆志さん監修の漫画で、『月刊ガンダムエース』で2011年に連載が始まりました。

単行本は全2巻で、一年戦争前半を舞台に908機動偵察中隊第二小隊が生きて宇宙へ帰るため戦う様子を描いています。

作画の夏元雅人さんは宇宙世紀を舞台にした様々な漫画を描いており、それらと同様に緻密なメカ描写と色気のある女性キャラクターが特徴。

シナリオは短編集のような内容で、地球に降下したクワランが様々な戦闘を行いますが、モビルスーツはザクⅡ(ザク)とザクI(旧ザク)しか登場せず、戦闘の大半が生身で兵器もジオン側はワッパ、連邦側は61式戦車やホバートラックが主力という攻めた内容です。

主人公はジオン公国軍の兵士・クワランで、本作オリジナルのキャラクターではなく、『機動戦士ガンダム』の第14話『時間よ、とまれ』が初出。

また『機動戦士ガンダム』での所属はパトロール隊や第二小隊といった設定のみで、908機動偵察中隊第二小隊は本作で付け足されたものです。

また駻馬(かんば)とは暴れ馬や荒々しい馬を意味します。

『時間よ、とまれ』について

襲撃を受けたマチルダのミデア輸送機を脱出させることに成功したガンダム。だが、それは敵パトロール部隊のクワラン曹長たちの計略であった。小型飛行兵器ワッパでガンダムに接近し、爆弾を取りつけていく兵士たち。シールドの爆発で仕掛けに気づいたアムロは帰投し、周囲の見守る中で爆弾を解除すべく孤軍奮闘するが…。(C)創通・サンライズ

Amazonより

アムロ・レイが母と再会する『再会、母よ…』と、様々な作品に登場したククルス・ドアンが登場する『ククルス・ドアンの島』の間の話です。

いつ爆発するのか分からない爆弾を、1人で解除するアムロとそれを見守るホワイトベースのクルー。

手伝おうとするものの、ミライに足手まといになるからやめるよう言われるフラウ。

アムロの姿に涙を流し最終的には協力するブライトたちと、それを遠くから見ているクワラン。

爆弾を解除したアムロがどんな人間なのか近くで見るため、アースノイドのふりをして声をかけるクワランなど、短いエピソードに様々な要素の入った回でした。

またクワランは『U.C.HARD GRAPH 1/35 ジオン公国軍 機動偵察セット』でワッパとともに立体化しています。

このU.C.HARD GRAPHは小説にもなっており、地球連邦軍編ジオン公国軍編の2冊存在します。

主なキャラクター

キャラクターにスポット当てつつシナリオにも触れていきます。

クワラン

本作の主人公で階級は軍曹。

『時間よ、とまれ』でも地球の環境を嫌い、「虫のいない清潔なジオン」という台詞のあるキャラクターでしたが、本作では地球の大気や重力も嫌っていることが加えられています。

様々な戦闘を経験し、連邦のモビルスーツ(ガンダム)の存在の把握して、『時間よ、とまれ』のやり取りを再現したところで本作は終わり、エピローグでオデッサに向かうことが描写されました。

ルルー・ベル・キャメロン

ジオン公国軍第908機動偵察中隊の司令官に当たる女性。階級は大尉。

通信兵のティア・フロステルに憧れ以上の感情を持たれており、上官と部下以上の関係に見えますがどういう関係なのかは最後まで曖昧なままでした。

キャメロン家がダイクン派である(あった?)ためザビ家が主流のジオン軍の中では冷遇されており、終盤も責任を押し付けられ本国に送還されることに。

送還される前に連邦のモビルスーツと戦うことを想定した模擬戦を企画し、それはクワランが敵モビルスーツに人間でも持てる吸着式時限爆弾を取り付ける戦法を思いつくきっかけになりました。

メリル

ルルーの妹で階級は少尉。

ジオン公国軍の査察(物事が規定通りに行われているか調べること)団に所属しているものの、査察団の存在は煙たがられているため慰問団の一員として任務に努めています。

キャメロン家については特に掘り下げられませんが、メリルの口ぶりから察すると良い立場ではないようです。

家のために任務をこなす自分とは違い、ザビ家に迎合する気のないルルーに不満を持つものの、ルルーの本国への送還が決まる前から陳述書を用意していたため姉妹の仲は悪くない様子。

レクリエーション

余談ですが本作では慰問団にレクリエーションとルビが振られています。

これは『時間よ、とまれ』でジオンの兵士の前で手品を披露するマジシャンが描かれており、このマジシャンのステージのことをレクリエーションと表現していたため、そこからきているのだと思われます。

打ち切りと思われる3つの理由

本作は2巻で終了するものの、打ち切りように見える点がいくつもあります。

クワランの両親

クワランが両親のことを思い出す場面があり、それによると両親はクワランが小さい頃に死別しているようですが、このことについては特に掘り下げのないまま本作は終わりました。

ベイズ隊長

ジオン内部にいる連邦側のスパイと思われるキャラクターで、劇中でも連邦の兵士と協力する描写がありましたがそれは1巻のみ。2巻には登場しませんでした。

連邦の兵士との接点

1巻の終盤から2巻の序盤にかけて、クワランは負傷した連邦の兵士を助け、その兵士とやり取りをするエピソードがありましたが、この兵士もこのエピソード以降登場しません。

まとめ

『機動戦士ガンダム』に1話だけ登場したキャラクターを主人公にしたコミカライズ

緻密なメカ描写と色気のある女性キャラクターが特徴

打ち切りに見える箇所が複数ある

著:夏元 雅人, その他:矢立 肇, その他:富野 由悠季, 読み手:今西 隆志, 読み手:サンライズ, 読み手:バンダイホビー事業部
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